インドのクダンクラム原発反対運動の今

日本でも新聞やニュース等で報道されているように、2012年9月9日、インド南部のタミルナドゥ州に建設されたクダンクラム原発への反対運動に対して大弾圧が加えられました。武装警官隊が女性や子供を多数含むデモ参加者に対して催涙ガスを発射、警棒などで無差別に殴打し、道路を封鎖しライフラインを寸断、さらには地域住民の家を次々と破壊するなど目を覆うような大弾圧です。武装警官の襲撃で、住民の一人である漁師の男性が射殺されました。
一年間に及ぶありとあらゆる抗議行動を無視し続けた挙句に、中央政府および州政府は人々の闘いを暴力で粉砕するという選択をしました。インド国内でも、チェンナイやコルカタをはじめインド各地に連帯行動が広がっています。そしてクダンクラム現地では今も抗議行動が続いています。
 
クダンクラム原発に対する反対運動のリーダーの一人であるウダヤクマルさんは、昨年夏に日本で開催されたノーニュークス・アジアフォーラム2011にも参加された仲間です。現在、ウダヤクマルさんらリーダーは、ねつ造された様々な容疑をかけられており、逮捕されてしまえば終身刑という状況です。数千人の地域住民が、リーダーたちを取り巻いて守り続けていますが、世界の人々の声を結集して、これ以上の非人道的な弾圧が起きないように監視しなければなりません。また、飲料水にも事欠く状態で権力に包囲されながらも一歩も引かずに原発反対の意思を貫いているクダンクラムの人々に対して、連帯の思いと具体的な行動を発信し続けたいと思います。
 
 クダンクラム原発はロシア製ですが、日本と非常に深い関係があります。民主党政権は新成長戦略のもと、原発輸出をこれからの輸出戦略の重要な柱と位置付けています。そしてここ数年間、日本政府は熱心にインドとの原子力協力協定締結に向けた画策を続けています。巨大なインドの核市場に乗り遅れまいと躍起になり、核保有国との原子力協力協定に踏み出そうとしているのです。あらゆる原発輸出は不道徳で非人道的ですが、万が一にも日本がインドの原発に肩入れするような事態となれば、それはインドの核保有を認め、南アジアの核開発競争に加担することになってしまいます。その陰で原発周辺に住む民衆が警棒で叩きのめされ、思慮深いリーダーが暗殺や不当逮捕の危険にさらされる。そんな状況を私たちは見過ごすことはできません。
 今インドのクダンクラム原発反対運動の現場で何が起きているのかを日本の人々に伝え、そしてその事態が日本にいる私たちにとってどんな意味を持つのかを考えていきたいと思います。